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ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)
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| ジャンル: | 本
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| 発送可能時期: | ご確認下さい
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| 参考価格: | ¥ 420 (税込)
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いじましく、したたかな。 オクタヴィアヌス = アウグストゥスが
ローマに平和を齎す迄を描いた上巻。
紀元前29年?紀元前19年までの出来事。
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初代ローマ帝国皇帝、アウグストゥスの物語。
はじめに作者が述べている通り。
『スッラのように痛快でもなく、
カエサルのように愉快でもない。』
そんな彼が、どのようにして目標
(パクス・ロマーナ = ローマによる平和)を
成し遂げたかを描いたお話。
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これまで、6巻もの間、ルキウス・カエサルという
破格の英雄譚を読んでいた後なので。
流石に正直なところ、地味、という印象が
拭えないアウグストゥス。
戦役は腹心のアグリッパに任せ。
自らは政治に精を出すアウグストゥス。
戦後を治めるためには治世に励む時期が
やってくるというのは理解ができるのだけれど。
どうしたってカエサルと比較してしまう。
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そんなアウグストゥスだけれど。
元老院議員に。
『何のことなのか、さっぱりわからん!』
と罵られても。
黙って辛抱。
連れ子のティベリウス(二代皇帝)に。
『私のことを悪く言う人がいても
憤慨してはいけない。
満足しようではないか、
彼らがわれわれに剣を
向けないというだけで。』と云う。
イジマシイ。
パクス・ロマーナへの道は険しい。
周到な策士 「だがオクタヴィアヌス(=アウグストゥス)には、カエサルにはなかった資質があった。それは偽善だった。」
当時18歳、「ユリウス・カエサル ルビコン以後」で塩野女史にこう評された初代皇帝アウグストゥスですが、読みながらほとほと感心していました。カエサルの死後、政敵となったアントニウス(とクレオパトラ)を打倒したアウグストゥスは、すでに目詰まりを起している共和政ローマを帝政ローマに移行すべく行動を起す。共和政復帰宣言をしておきながら、密かに実権を握るべく、巧妙に現行の制度を利用しつくす。
その上で安全保障、経済、税制、食料確保、インフラ、宗教・民族問題、皇帝の近辺警護、一般市民・元老院の人気取りなど八面六臂の活躍をみせる。最も苦手な軍事は「右腕」のアグリッパに任せて、内面ではキャリアを捨ててまで奔走してくれる「左腕」のマエケナスの協力を得て帝政ローマの礎を築いていきます。
ただ晩年の血筋への妄執は、後の「悪名高き皇帝たち」の悪政への一因となって残ります。彼らの悪政によっても崩されることがなかった「パクス・ロマーナ」がいかに築かれたのか、感心でうなりながら読んでください。
全く違うタイプの才能に引き継がれたローマ カエサルの政治構想力に基づき広大な欧州の地にばら撒かれたパーツを、ローマ帝国として組み上げる仕事を残されたオクタヴィアヌス。同じ帝政を目指しながら、なぜカエサルは暗殺され、オクタヴィアヌスは皇帝となれたのか。この疑問はかなり興味深い。
カエサルは、同時代に生きた政治家と比較して、明らかに飛びぬけた能力を持っていた。軍隊を率いさせればガリアを平定し、弁舌は兵士を魅了し元老院議員を沈黙させる。その政治的センスが際立っていたことは、反抗的だったガリアを属州の優等生と呼ばれるまでにした統治政策からも明らかだと思う。だが、後世から見れば明らかな事実も、同じ時代を生きている人間から見ればそうとは限らない。まして元老院議員から見ればカエサルは同輩でしかないのだから、一人カエサルが人気絶頂にあれば嫉妬の炎を燃やしもするだろう。しかし、おそらく彼はこの嫉妬が理解できなかったのだと思う。だから、統治すべき民衆に対しては細心の心配りができたのに、同輩の自尊心を満足させる策を打たなかった。カエサルは生まれながらの支配者だったがゆえに暗殺されたのではないか。
一方、オクタヴィアヌスは元老院議員を嫉妬させることが無かったのだと思う。何しろ彼は、軍隊を指揮すれば必ず負け、演説をすればやり込められるような存在だったのだから。ただ、オクタヴィアヌスは自分が天才ではないことを知っていた。きらめくような人をひきつける魅力は無かったかもしれないが、人を利用することは知っていた。だから、元老院を自分の支配構造の中に取り込み、飼いならしていったのだと思う。権威と権力に酔う人間には夢を見させておけばよい。オクタヴィアヌスは元老院に共和制の夢を見させ続けることに成功した。
このように考えると、現代日本で強力なリーダーが生まれづらい理由が分かるような気がする。カエサルとオクタヴィアヌスのように、政治的な意味で”幸せな結婚”が生まれる環境が作れれば良いのだが…
天才の後を継いだ天才でない人物による「戦争」 長かったカエサルの項が終わり、本書からはカエサルの養子であり後継者であり、最初の皇帝となるアウグストゥス(オクタヴィアヌス)への主人公が移ります。
「スッラのように痛快でもなく、カエサルのように愉快でもない」と塩野氏が評するとおり、
アウグストゥスは派手な戦争をする訳でもなく、弁舌さわやかに市民に演説するような場面はありません。しかし、常に冷静に行動し、元老院派の反発を避けながら、時間をかけて、かつ巧妙に、自らへの権力の集中を進めていくさまは、地味にみえるだけにかえってアウグストゥスの優秀さを表しているような気がします。
読者にとってはカエサルの項のほうが面白いのは間違いなく、本巻での文章表現は退屈な印象を受けますが、塩野氏は「彼の生涯と業績を追っていた間、一度として退屈したことはなかった。それは彼が生涯をかけて別の意味での戦争を戦っていたから」と前書きで語っています。
静かなる最高権力者がいかにしてローマを帝政へと導くのか。静かなタッチが却って緊張感をもたせていて、次巻以降に期待を持たせる内容となっています。
教科書的 前巻までと比べて政策や権謀の羅列になっていて著者の想像が入る余地も多く読むのになかなか苦労する。事実の羅列→著者の想像→事実の羅列 の順序で進んでいく本書は前作までの興奮する場面も無く記述しにくい時代だということはよくわかる。
どうにも歴史教科書を詳しくしただけという感もいなめない。
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